2015.10.30

日産自動車株式会社エクストレイルハイブリッド開発主管の東倉伸介さんインタビュー

2015_09_19_集合写真

私達たち「Next Car Generation」(以下:NCG)は、次の自動車世代を生きる20代までの若者たちで結成された団体です。若者のクルマ離れを止めるには、同年代がその楽しみを伝えることが最も有効だという考えのもと、様々な活動を通して若者とクルマの世界をつないでいます。
そこで今回は日産自動車株式会社エクストレイルハイブリッド開発主管の東倉伸介さんからエクストレイルハイブリッドの開発秘話を教えていただきました。


 

まずは、走行中の車内にてエクストレイルハイブリッドの“走り”についてお話を伺いました。

 

2015_09_19_エクストレイル

 
大塚・木暮「東倉さん、本日はよろしくお願いします。」

 
東倉さん「よろしくお願いします。」

 
木暮「今回、東倉さんにインタビューできると言う事で、まず二人でエクストレイルハイブリッドに試乗させて頂きました。」

 
大塚「若い人の勝手なイメージだと思うんですけど、ハイブリッドって聞くと、あんま楽しく無いんじゃないかと思ってしまうんですよね。」

 
東倉さん「なるほど。」(笑)

 
大塚「車好きの若い人からすると、音もそこまで出ないし、みたいな。でもこの車は、踏むと出ますし…」

 
東倉さん「出ますよね!」

 
大塚「すごい軽くて楽しいって印象だったんですよね。やっぱり、そういうところは工夫されているんですか。」

 
東倉さん「ありがとう。してますね。かなりしてますね!まず、ハイブリッドモデルでは、今乗られて見える、タコメーターを搭載している車が少ないですよね。」

 
大塚・木暮「あー。そうですね。本当だ。」

 
東倉さん「この車はタコメーターがあるんですよ。さっきみたいにサーキットを走行すると、ブォーって回転の音がするでしょ。それに合わせてメーターが上がっていって、有段シフトのようにちゃんと上がっていくんですよね。」

 
大塚「それ感じました。」

 
東倉さん「そういうのはエクストレイルならではですね。さらにこの車は1モーター2クラッチっていう日産のハイブリッドがエンジンとCVTはそのまま残して、間にモーターを入れた構成なのでスピードを出して走ったときはモーターはただクラッチをつないでいるだけ。CVTの特性をフルに使える。エンジン動力をそのまま回転数に伝えることが出来る。」

 
木暮「やっぱり、踏んだ時に車体の重さ、大きさを感じずにスーって加速したのを先程運転させて頂き、自分でアクセル踏んで感じましたね。」

 
東倉さん「この車のこだわりのひとつだね。」

 
大塚「そういう楽しさも忘れないっていう…」

 
東倉さん「もちろん!もちろんだよ。」

 
大塚「そうですよね。ハイブリッドのイメージが変わりました。」

 
東倉さん「しかも、この車SUVでしょ。SUVってやっぱり、いろんな使われ方するでしょ。スポーツドライビングじゃなくても、アウトドアスポーツであったり長距離でどこか遊びに行くとか。そういう時に僕ら車に乗る楽しさって忘れて欲しくないんだよね。」

 
大塚・木暮「うん。うん。」

 
東倉さん「単なる移動車だったらここまでいらないかもしれないけど。この車だったらマルチユースで色んな使い方ができるでしょ。」

 
大塚「感動しました。」

木暮「すごいです。車外にて続きのお話をお伺いしてもいいでしょうか。」

 

続いて、車外にてエクストレイルハイブリッドの“造り”についての秘話をお伺いしました。

 
2015_09_19_東倉さんにインタビューするNCGメンバー
 

大塚「続いて、車外に移動しました。このエクストレイルハイブリッドを造る上での秘話があればお聞きしたいです。他のメディアさんに出してないものがあれば…(笑)」

 
東倉さん「出してないものは中々ないと思うけどな。」(笑)

 
(ラゲッジドアを空ける)

 
木暮「ラゲッジですか。」

 
東倉さん「ハイブリッドなんで、バッテリを搭載しないといけないじゃないですか。」
 
大塚「そうですよね。」

 
東倉さん「この車のバッテリーが実はこのスペース(ラゲッジスペースの下)にあるんですよ。

 
大塚「この下にですか。」

 
2015_09_19_エクストレイルハイブリッドラゲッジ下

 
東倉さん「うん。これがリチウムイオンバッテリーです。で、大手に言ってないことを言うと、普通は12Vバッテリーっていうのはここ(ラゲッジスペース)じゃなくてエンジンルームにありますよね。この車はここ(ラゲッジスペース)にあるんですよ。」

 
大塚「それはなんでですか。」

 
東倉さん「リチウムイオンバッテリーと12Vバッテリーは常に電気のやり取りをしているから。そのやり取りをするために12Vバッテリーを前に持って行くと電力がロスするのでここに置いてあるの。そういう大きなレイアウト構成をするところから苦労しているんだけど。で、このリチウムイオンバッテリーは大きければ大きい程、燃費がいいし、ハイブリッドとしてはEV走行が長く楽しめるから、燃費だけを考えたら本当ならもっと大きくしたいの。もっと、もっと。でもできるだけこの車のボディを変えないようにして、ある隙間にキチンと詰めるということですごく薄く作りました。」

 
大塚「本当はもっと大きいものなんですか。」

 
東倉さん「本当はもっと大きくしたかったの。で、だけじゃなくて、この車は第一としてオフロード四駆なので、テンパータイヤを。俺はこれ、絶対に付けるって。」

 
大塚「これは、絶対にはずさないと。なるほど。」

 
東倉さん「テンパータイヤを外して、パンク修理キットに変えて、もっとバッテリーを大きくする方策も無くはないんだけど…」

 
木暮「はい。」

 
東倉さん「エクストレイルはハイブリッドである前に四駆の車だから、もうそこはこだわり。」

 
大塚「じゃあ、途中で(テンパータイヤを)外して、バッテリーを大きくしようという話はあったんですね。」

 
東倉さん「あー、もういっぱいありました。いっぱいあったけど、後ろからの衝突から守るために補強バーをいれて、バッテリーを守るというのがあって、しかもエリア限られているでしょ。そうすると、どうやって入れるかなって。だけどこれ(テンパータイヤ)ははずさない。」

 
木暮「入れるぞということですね。」

 
大塚「これはまずハイブリッドの前にエクストレイルなんだと。これがポリシーなんですね。」

 
東倉さん「そう。これがポリシー。」

 
2015_09_19_ラゲッジルームの秘密に感心するNCGメンバー

 
大塚「面白い事を聞かせて頂きました。」

 
東倉さん「ハイブリッドで燃費、燃費って言えばもっとできなくはないんだけど…だからタイヤもオールシーズンタイヤなの。」

 
大塚「夏、冬と変えなくていいんですね。」

 
東倉さん「そう、基本は変えなくていける。秘話!」(笑)

 
木暮「ありがとうございます。大変だったんですね。」

 
東倉さん「そう、やっぱり僕一人じゃなくて大勢でやっているでしょ。色んな意見があるんだけど、皆がいい車にしようと思うことだよね。こういう方向だって言った時に、皆が一緒に行ってくれるか。リアは特に苦労してるんだよね。」

 
大塚「そういう、方向性って大事なんですよね。私達が乗った時はリアはわからなかったので。面白い話が聞けました。秘話ですね。」

 
大塚・木暮「ありがとうございました。」

 
東倉さん「ありがとうございました。」

 
取材/NCGメンバー:大塚、木暮 文/NCGメンバー:木暮